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時計屋のひとりごと 第14回

2012年05月23日(水) | コメントできません

脱進機(アンクルとガンギ車) クラブツールとコーアクシャル

以前に第10回で 説明いたしました 時計の動力は香箱(1番車)の中に入っているゼンマイが
解ける力で 動いているわけですが アンクルと テンプを はずしてゼンマイを 巻き上げますと
時計の針は 飛行機のプロペラのように 「ビュン ビュン」回転してしまい 時計にはなりません。
そこで ガンギ車に アンクルのツメをあてて一時 時計を止めながら 動かしているわけです。
アンクルの先 クワガタ状の引っ掛けに テンプの振り石があたり ガンギ車1つ 進むわけです。
テンプの往復運動に よって アンクルは シーソーに様に ガンギ車を 一個一個送っていくわけです。
ガンギ車の歯と アンクルのツメが あたって「カチカチ」 音を出しているわけです。
通常 8振動の時計ですと 一時間に28800回 1日では 691200回 3年では
 約7億5600万回 ガンギとアンクルが接触していることになるわけです。
これでは ムーブメントの中で 最も磨耗がはげしい部分となってしまいます。
そのために 油をさすわけですが 油も永久に 持つわけがありません。
このために 3年ほどしたら 油をささなければ ならないわけです。
 これは機械時計に宿命ですよね。そこで 考えられたのが 
1976年に 発明したのが ジョージダニエルズであり オメガ社と共同開発の末 量産化に 成功している。
クラブツール脱進機は ガンギ車の歯と アンクルのツメ石が 擦り合うように 接しているため
磨耗が 激しいわけです。 コーアクシャルは 共軸の2つの ガンギ車と4つのツメで 構成され
4つのツメは ストップをかける役割と押されるツメが完全に分担されしかも ガンギ車の歯と1点で


接するために ほとんど磨耗を受けないしくみなっている。このため 脱進機には
油が必要とせず、メンテナンス・サイクルは5年から10年へと 飛躍的に伸ばすことができたわけである。
ただし オメガのクラブツール脱進機の時計と コーアクシャル脱進機の価格の差は 否めないわけで

 

クラブツール脱進機 左より ガンギ車 アンクル テンプの振り座

コーアクシャル脱進機 左2つ ガンギ車 アンクル テンプの振り座

 

カテゴリー:時計屋のひとりごと

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