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時計屋のひとりごと 第13回

2012年05月23日(水) | コメントできません

ムーブメントメーカー ETA社

スイス時計が語られる際「この時計にETAがはいってて・・・」などという言葉をしばしば耳にする。
ETA社のムーブメントはその優れた品質から多くのブランドのさまざまなグレードの時計に導入されているのです。
しかし、いっぽうで「ETAの品質は可もなし不可もなし」なる、やや否定的な評もある。

現在のスイス時計メーカーを見るとさまざまなブランドが多くの時計をリリースしていることに
脅かされる。ケースの中のムーブメントに興味を向けると時計メーカーのオリジナルムーブメントを
採用しているのは 希であることがわかる。現状自社一貫生産をしているメーカーは
極わずかである。これは自社一貫生産をすれば 設計から完成までに膨大な時間とお金が
かかり エンドユーザーにも高価なものになってしまうということになる。
ちなみにETA社(バルジュー)7750のクロノグラフのムーブメントがあるが これを
基本に各メーカーが使用しており 7750のおかげで 10万台から機械式の
クロノグラフが 購入できるのである。これはETA社の7750のムーブのおかげといえるのでは
ないでしょうか。話を戻しますが それでは実際にムーブを作っていないメーカーも
あるわけです。そのメーカーは何らかの形でムーブの供給を受けているのである。
ところが クオーツの登場の前と後では違う感じを受けるのは私だけでしょうか
クオーツ登場前は レマニア・バルジュー・ヴィーナスなどさまざまなムーブが
使われていたように思える。ところがマミファクチュール以外のムーブの名前はというと
ETA社が非常に多いのではないかと思われます。
実はETA社もまた創業1856年とする老舗のムーブメントメーカーとはいえ当時は
スイスに数多く存在したムーブメント・ファクトリーの一つにすぎなかったはず。
しかし1962年に同じくムーブメントファクトリーであるフォンテメロン社とア・シールド社とともに
エボーシュSAを組織したときから ETA社は強固な運営システムを得たのです。
この時代は高まる需要からスイスのムーブメントメーカーは乱立気味となり、業界の再編が
期待された時代で そこでETA社ら3社はパーツに互換性をもたて キャリバーの種類を
絞込む代わりに均一な品質で製品を量産できるためのシステムを模索し結果エボーシュSAを設立した。
その後しだいに発展したエボーシュは17社がその傘下に収まっている。
その後70年代にクオーツムーブメントの登場により 伝統的なスイス時計産業は存続の危機に
さらされまた再編成を余儀なくされた 83年にSMHグループ(スオッチ)が組織され
すでにエボーシュSAの傘下企業を次第に吸収合併し最大手のムーブーメントメーカーへと
成長しつつあったETA社も翌年 SMHグループの参加を決定し ここにETA社の
スイス時計産業界における絶対的 地位が構築された。
ETA社のムーブメントはスイス製ムーブメントにおける全供給量の大半を占めるほどの
規模になっている まずは世界一のメカニカルムーブメントメーカーとみなしていいのではないでしょうか
ここでわたしがいいたいのは 全部のメーカーが 完成品を購入してそのまま 自社のブランドの
文字盤を付け 自社のケースにいれているのではないということです。
ETA社より 部品で購入して そのパーツを 自社の規格までに精度をあげ またオリジナルの
機構をつける。または 自社で開発したゼンマイを入れたり ヒゲゼンマイを自社のオリジナルを
採用して トータルで 時計をつくりあげるのです。自社の規格を作って生産している時計企業があるということです。
ベースはETAでも性能が数段上がっている時計もたくさんあるということです。
(ETA社のムーブが・・・・ということではまったくないのですが)

カテゴリー:時計屋のひとりごと

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