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時計屋のひとりごと 第6回

2012年05月23日(水) | コメントできません

 

腕時計のはじまりは?

1.ボーア戦争

腕時計のはじまりは ボーア戦争といわれておりますが実際には
どうでしょうか 先日 新聞で
「腕時計の誕生」作者 永瀬 唯 
廣済堂出版の 本が 紹介されていました。
前から 気になっていたことなので 即 本屋さんに 走り
早速読んでみました。みなさんも 何かの雑誌で 読まれたと
思いますが ボーア戦争で兵士が 懐中時計では 不便で
なんとか 懐中時計を 腕につける工夫したのが 始まりだと
思っていました。実際1965年 上野益男著 「時計の話」
には
「イギリス軍将校の一人が、肩紐やベルトでがんじがらめに
縛られたような軍装のポケットから片手で懐中時計を取り出す
不自由さにかんしゃくを起こしていた。時計屋出身の彼は、
ポケット・ウオッチのケースの胴に皮バンドを通す針金を溶接して
皮バンドで手首に巻きつけることを考えついた。彼が作った12
サイズのちょうど腕の太さ一杯もあるような大型腕時計が
おしらく実用上の必要が生んだ腕時計第1号であろう。
彼の考案が従軍中の兵士たちの間に流行して、改造ケースの
腕時計が次々と作られたらしい。
南阿戦争が終わったとき、兵士たち 持ち帰った流行が
一般市民の間にひろがりはじめた。」
とある。
1899年に始まったボーア戦争においてのこととされている。
果たして 腕時計は この時期に 誕生したのだろうか?

2.ウオッチブレスレッドと腕時計は違うのでは?

腕時計とは、文字盤をガラス越しに常に読み取れること。
ウオッチブレスレッドは蓋を開けて初めて文字盤をみることができるのは
(装飾の一部と考えられないだろうか)
時計としての機能はあくまで付録にすぎないのでは
こう考えると ウオッチブレスレッドは あくまでもブレスでは。

 

1790年 ジャケドロー ブレスレッド上に固定したウオッチを販売したとの記録が残っている。
ブレス自体は鎖を織った広い形の物 2列に並んだダークブルーの
エメラルドが飾られたという。蓋つきかどうかは定かではない
1806年 ニトー(宝石商) 針を直接見ることの出来るタイプペアウオッチ これは片方は時計もう
もう片方はカレンダーが装着されている これは巻きカギを用いられる
必要がある上、文字盤の位置に問題があり、腕を立てなければ時刻を読み取る
ことが出来ない

1863年
1873年

パテック・フィリップ パテック・フィリップ社の記録に 63年と73年の2度に渡ってウオッチブレスレッド
が 試作されたというが リュウズはまだなく巻きカギ式の上に、ストラップも
バングル・タイプで近代型腕時計の原型とはいいがたい存在だった。
     

 

3.近代腕時計の出現(実用腕時計)

1880年、スイス時計産業の中心、ラ・ショー・ド・フォンの時計メーカー
ジラール・ペルゴは ドイツ海軍からの注文にもとづき、士官用に多数の
腕時計を製造した。残された資料は、GPに保存されていた伝票1枚のみで
精確な受注・製造の日付についてもはっきりとはわからないが 1880年か
それ以前にかなり多数がつくられたことは間違いない。
GPに残る伝票によれば10号から12号サイズのムーブメントを用いており
オープンフェース型でチェーン型のブレスレッドに連結されいた。

「腕時計の誕生」 女と戦士たちのサイボーグ・ファッション史
永瀬 唯 著 廣済堂出版  より

カテゴリー:時計屋のひとりごと

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