時計屋のひとりごと 第5回
2012年05月23日(水) | コメントできません
IWCの時計学校
1968年 IWCは創立100周年を記念して独自の時計学校を創立しました。
クオーツが市場を独占し、スイス時計が危機的状況に陥った70年代、
時計学校の存在の意味を問われたこともあったが、存続を決めこれが現在の
IWCの大きな力となっている。
時計学校はIWCの工場の一室にある。1学年4人、計16人の生徒がここで
技術を学んでいる16歳から20歳までで 現在10人が男子、6人が女子。
入学するにあたっては、中学校卒業前の 1週間、体験コースに入り、適正が
判断され 4人が入学を許可される。そして4年間、カリキュラムに従って
機械式およびクオーツの時計構造、修理について学ぶことになる。
授業はAM8:00から11:30までPM2:00から4:30までの1日5時間半。
彼らはここで授業を受けるのと並行して、週2日ソロトウルンにある
時計学校で総合的な職業訓練を受けなければならない。
彼らのファイルされたノートは克明な図と説明でびっしりと埋まっている。
生徒たちにはひとつの義務が課せられる。これが週に1回、提出しなければ
ならないこのノート。1週間に学んだことを図解入りで詳細を記するもので
成績判断の主要な材料となる。彼らは真剣に学んでいることがそのまま
表されている。いままでに一人として落伍者がでていない。
卒業後はIWCで働く義務はないが他社に就職しても 戻ってくるひとが多い。
生徒たちのなかでも親父も時計師という例は希。
初めて時計の機械に触れる彼らだが、工具作りから、始まり、4年後には
クロノグラフや永久カレンダーの組み立て、アンティークの修理まで技術を
習得していく。授業料は無料で 逆に成績に応じて報酬を受ける。
生徒の腕には 皆 IWCの時計があり それぞれが自分で購入したもの
彼らの誇りに違いない。
カテゴリー:時計屋のひとりごと
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